持続可能な社会の構築に向け、企業のエコロジー志向の活動が注目されています。中でも、SDGsへの取り組みを反映した展示会出展を念頭に置いている企業が増えていると言えるでしょう。
本記事では、「環境に配慮した展示会出展」をテーマに、その背景となる環境問題と、展示会ブース素材の選び方について詳細に解説します。
展示会業界と環境問題の関係性について、考えたことがある方は少ないかもしれません。
しかし、実は展示会業界でも環境に配慮した動きが進んでいます。以前の展示会業界の状況とともに、現在広がっている環境に配慮した視点をご紹介します。
展示会業界と環境問題がどのように連携しているのかを理解するためには、以前の展示会業界の状況と、現在の環境に配慮した視点の両方を照らし合わせて考えることが重要です。
以前は展示会の開催期間(1日~3日)が終わった後、ブースは取り壊され、多くの素材が分別もされずに廃棄されてきました。しかし、こうして会期終了後の廃棄物処理が問題視されていたものが、全てが埋め立て処分や焼却処分になるとは限らず、リサイクル処理されているものが少なくないのが現状です。
昨今ではSDGsが浸透する中でさらに高まる意識のもと、展示会ブースの構成素材や、会期後の処理についても把握したいという人々の意識の高まりも伺え、世の中の変化が起こっているように見受けられます。そしてより効果の高いものが選ばれるようになってきました。
こうして、現在の展示会はマーケティング施策としての自社商品やサービスの訴求に加えて、環境に配慮したブースの設計が重視されています。
環境意識の変化から環境負荷が少ない出展を目指す企業は決して少なくないので覚えておきましょう。
環境に配慮したブースを導入する企業が増えているのは確かですが、「エコ」の導入には、費用やデザイン性の問題が存在します。実際、リサイクル素材やエコ電力を採用すると、通常よりもコストが高くなるケースが多いです。
また、エコ志向だけに重きを置いてしまうと、デザイン性が希望通りにならない可能性もあります。そのため、デザイン性にこだわりたい場合や費用を抑えたい場合には、環境に配慮したブース作りが難しいというジレンマが生まれてしまいます。
とはいえ、デザイン性や費用を気にしすぎた結果、以下のような従来のブース設計をしてしまい、
展示会ブースのデザインと構築は、さまざまな素材の特性を理解することが必要です。以下では、展示会ブースで一般的に使用される代表的な素材を探り、その特性と環境への配慮の視点について説明します。
システムユニットブースは、規定サイズの部材を組み合わせて使用するブースです。
基本は角の部材ですが、アール部材も存在するため、規定範囲内であればデザインの自由度が確保できます。
システムユニットブースには以下のメリットがあります。
当然、システムユニットブースにもデメリットが存在します。具体的には以下の4つです。
トラス部材ブースは、システム部材のひとつである「トラス(三角の集合体)を使用したブースのことです。大規模な出展やブースの高さを出したいときにはトラス部材ブースが適しています。
トラス部材を使った展示会ブースの特徴とメリットは次のとおりです。
トラス部材を使ったブースには、以下のような弱点・注意点があります。
ファブリックシステムユニットはシステム部材と布素材を組み合わせたブースです。システム部材の骨組みに布のカバーのようなものをかぶせた大きなパーテーションのような造作や、布の柔らかさを活かした曲線のような造作ができます。
ファブリックシステムユニットのメリットと特徴は以下の4点です。
とは言え、ファブリックシステムユニットにも、以下のデメリットもあります。
木工ブースは、木材や合板などを組み合わせて作るブースです。一見、廃棄するものが多いように思えますが、実際には要望に応じてデザインや造作を使い回せます。
木工ブースの特徴とメリットは以下のポイントです。
一方で、以下のような弱点・注意点もあります。
展示会ブースの素材については、前述した各種システムユニットブース、木工ブースが一般的ですが、その他にも多種多様な素材が存在します。
ここでは、それらの素材の特徴とメリット、SDGsや環境配慮の観点からの注意点を紹介します。
内照型の直方体システムは壁の中に照明がある内照式のシステム部材を使用したブースです。直方体のため壁として単体で自立できる特徴があります。
内照型の直方体システムユニットには以下のメリットがあります。
内照型の直方体システムは分解できる分部材数が多いですが、規格サイズしかなく部材が大きいため重く運搬しにくいというデメリットがあります。
また、複雑なデザインのブースにも向いていません。とはいえ、最近ではLED照明が増えているため、内照式のブースでも柔軟なデザインができる場合もあります。
段ボールユニットは、その名前のとおり段ボール素材を使用したブースです。リサイクルやリユース素材が多く、多種多様な種類があるため、選択の幅が広くなります。
段ボールユニットは以下の4つのメリットがあります。
段ボールユニットの注意点は以下の3点です。
SDGsや環境に配慮した展示会出展では、「予算・エコ素材・デザイン性・納期」などを考慮する必要があり、一度に全ての要件をクリアするのは容易ではありません。そのため、「何を重要視して出展するのか」を決め、様々な視点で検討してブースを設計することが必要です。
もちろん、環境に配慮したブース設計には、業者の協力も必要になります。ブース施工業者に依頼する際は、環境への配慮や予算、ブースの規模に合わせて比較検討してみてはいかがでしょうか。
なお、弊社は展示会ブース設計・施工のエキスパートとして、様々な企業様の展示会出展をサポートしております。初めての出展や、展示会出展に不慣れな場合も、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。
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