オフィスデザイン

なぜ、“チームワーク”を経営の軸に据えたのか ──持続的な成長を見据えた働き改革の出発点【第1回】

2026.03.04

中小企業である私たちが働き方改革に本気で向き合い始めたのは、「このままではいけない」という危機感がきっかけです。

成長に向けた打ち手を検討する過程で、私たちが問い直したのは、事業戦略と、それを実行する「組織のあり方」そのものでした。

限られた人員で、どうすれば無理なく、持続的に成果を出し続けられるのか。
そうした問いに向き合い続けた末に、私たちがたどり着いたのが、“チームワーク”を経営の軸に据えるという考え方です。

なぜ私たちがその結論に至ったのか。
私たちの働き方改革のプロセスを連載で辿るコラム第1回として、改革の出発点となった思考と、その背景をお伝えします。

真面目に働いているのに、力を発揮しきれない組織

変化のスピードが速い時代、企業が成長し続けるためには 変わり続ける力が欠かせません。

社員一人ひとりは、日々の仕事に誠実に向き合い、それぞれが責任を持って業務を担っています。
それでも、もっと工夫できる余地があるのではないか、もっと効率よく進められるのではないか──
そう感じながら、思うように変化が生まれず、もどかしさを抱えている経営者の方も少なくないはずです。

こんな光景に、心当たりはありませんか?

  • 毎朝、決まった席に座ることが仕事のスタート
  • 隣に人はいるものの、互いに何をしているのかは分からない
  • 外回りのあと、事務作業のためにわざわざ帰社する
  • 会議は長く続くのに、結論はあいまいなまま終わる
かつての私たちの会社も、まさに同じ状態でした。

社員一人ひとりは真面目で責任感も強く、仕事への誇りも高い──
それでも、組織として力を発揮できているかと問われれば、答えは「ノー」でした。

企業の成長に向け、改革を決断した理由

私たちは1948年創業の老舗企業として、空間演出の分野で実績を積み重ねてきました。
社員数は50名に満たない規模ながら、デザイン力を強みに多くのクライアントから信頼をいただいています。

一方で、景気や市場環境の変化を受けやすい事業構造であるがゆえ、業績に波が生じる局面もありました。
とはいえ、これまで培ってきた経営基盤があったからこそ、急激な変化を迫られることなく、日々の事業に向き合い続けることができていたのです。

そのような中、2016年の経営トップ交代をひとつの契機として、私たちは改めて自社のあり方と向き合うことになりました。
将来にわたって成長していける企業であるためには、個々の努力に頼るのではなく、組織として力を発揮できる状態へと変化していく必要がある──
そうした課題意識が明確になったのです。

ここから、私たちの改革は本格的に動き出しました。

個の頑張りに依存する組織の限界

当時の私たちの組織は、いわば“個の頑張り”で成り立つ組織でした。

徹夜や休日対応もいとわず、現場を回しきることで信頼を積み上げる。
高度成長期型の働き方が、無意識のうちに当たり前になっていたのです。

その一方で、

  • 業務の属人化
  • 一部の社員への負担集中
  • 効率や生産性の後回し
といった問題が、静かに蓄積していました。

誰かの踏ん張りに依存する組織には、再現性がありません。
その誰かが抜けた瞬間、経営そのものが立ち行かなくなる──
私たちはそこに、強い危機感を覚えました。

自律した社員がいてこそ、チームワークは生まれる

限られた人員で、持続的に成果を出し続けるにはどうすればよいのか──
その問いと向き合う中で、私たちが行き着いた答えが“チームワーク”でした。

私たちが考えるチームワークとは、各人の個性を生かしながら、仕事はもちろん、家族や心身の健康への思いも尊重し合い、お客様、社員、パートナーを含むすべてのステークホルダーの将来を、より豊かなものにしていくことです。

単なる役割分担や助け合いではなく、
一人ひとりの人生や価値観を土台に成り立つ関係性だと捉えています。

そのために欠かせない前提が、一人ひとりが自律して働けていることでした。

  • 自分の役割を理解する
  • 自ら考えて行動する
そうした自律した行動が重なり合うことで、自然と協力や助け合いが生まれます。
その先に、組織としてのチームワークが立ち上がっていくのです。

そこで私たちは、日々の働き方の中で、自然にチームワークが発揮される状態をつくることを改革の出発点としました。

意識ではなく、行動を変えることから始める

では、どうすればチームワークは育つのか──
私たちは、「意識を変えよう」と呼びかけることからは始めませんでした。
なぜなら、行動が変わらなければ、意識も変わらないと考えたからです。

社員の行動を自然に導くために必要だったのは、「どのように働いてほしいか」という経営の意図を、日々の行動に落とし込む“仕組み”でした。

こうして私たちは、制度・IT・オフィスから、改革に着手していくことになります。

次回予告

次回は、チームワークを意識ではなく行動として根づかせるために、私たちがどんな制度やITから整え始めたのか。
働き方改革の具体的なプロセスをご紹介します。

大中 文人

大中 文人

中央宣伝企画株式会社
オフィス内装事業のリーダー