施設の案内サインについて、「わかりにくいと言われる」「人の流れが思った通りにならない」「サインを増やしたがあまり変わらない」――そんな悩みを感じたことはありませんか?
サインは、ただ情報を足せば解決するものではなく、空間全体のつくり方と深く関係しています。この記事では、施設サイン計画を進める際に、私たちが大切にしている考え方と整理のポイントをご紹介します。
目次
このコラムでは、施設内で来場者を案内・誘導するための表示物など、来場者が迷わず安心して施設を回遊できるようにするためのサインを扱います。
たとえば、
施設のサイン設計や改善についてご相談をいただくと、次のようなお悩みをよく耳にします。
サインの改善を考え始めたとき、すぐにデザインや設置場所を決めたくなりますが、その前にいくつか整理しておきたいポイントがあります。ここが曖昧なままだと、完成後に「思っていたのと違う」と感じてしまうことも少なくありません。
ここからは施設のサイン改善をする場合に絞って、ポイントを整理していきます。相談の土台をつくるための整理として参考にしてみてください。
「迷子を減らしたい」「特定エリアへの誘導を強化したい」など、目的によってサインの役割は大きく変わります。目的が曖昧なままだと、情報量や設置場所の判断がぶれやすくなります。
企画展などの期間限定サインなのか、常設として長く使うものなのかによって、考えるべき前提が変わります。使用期間の想定は、デザインの自由度や設置方法のほか、形状や素材などの仕様を考えるうえで重要な要素です。
壁や柱に取り付けるのか、自立型にするのか、什器と一体で考えるのか。設置場所によって視認性やデザイン性、情報量の適切さも変わってきます。空間の使い方を考えながら、設置場所を検討していく必要があります。
初めて訪れる人なのか、リピーターなのか、子どもや高齢者が多いのか。サインを見てほしい対象によって、言葉づかいや情報の出し方、グラフィックデザインなどのビジュアル面にも関連します。
施設または空間としての世界観やブランドイメージがある場合、それをサインにどのように反映するかはデザインを考えるうえで重要なポイントです。おしゃれさだけでなく、読みやすさとのバランスも考える必要があります。
サインは単体で機能するものではなく、人の動きや視線、空間のつくり方とセットで初めて意味を持つ存在です。
「どこに何があるか」を伝える前に、「人はどう動くのか」「どこで立ち止まるのか」を考えることが、結果的にサインの役割をシンプルにしてくれます。
サインの改善を検討していると、「もっと案内を増やしたほうがいいのでは」「表示を大きくすれば伝わるのでは」と考えがちです。もちろんサインは重要な役割を持っていますが、情報を足せば足すほど、必ずしもわかりやすくなるとは限りません。
むしろ案内が多すぎることで視線が散り、かえって迷いやすくなってしまうケースもあるため、注意が必要です。サインだけで解決しようとせず、まず空間全体を見ることを大切にしています。
サインの計画を考える際、私たちはまず実際の空間を歩くことを大切にしています。来館者の目線で動いてみると、
実は、「サインは一度つくったら終わり」というものではありません。常設として設置されたものであっても、年数を経ることで、施設の役割や来場者のニーズ、伝えるべき内容は少しずつ変わっていきます。
たとえば、十数年前につくられたサインデザインを見直すと、当時は適切だった表現が、いまの空間や利用シーンには合わなくなっていることも珍しくありません。情報の意味合いが変わったり、素材が経年劣化したりと、物理的にも、意味的にも更新が必要になるタイミングが訪れます。
また、デザインそのものも、時代や社会の空気と無関係ではありません。色使いやトーン、質感の選び方には、その時代の価値観や経済状況が自然と反映されていきます。
だからこそ私たちは、いまの空間だけでなく、「いつつくられたものか」「これからどれくらい使われるのか」といった“時間の軸”も含めて、サイン計画を考えることを大切にしています。
サイン計画に「これが正解」という万能な答えはありません。来館者の年齢層や利用シーン、施設の規模や導線、運営体制などによって、最適な形は大きく変わります。
大切なのは、「誰に、何を、どう伝えたいのか」を整理したうえで、いまの施設にとって本当に必要なサインは何かを考えることです。
現状のサイン設計や動線設計においては、一度立ち止まって、全体を俯瞰してみるのがおすすめです。現場を一緒に見ながら整理していくことで、「やるべきこと」と「やらなくていいこと」が自然と見えてきます。
サインの手配や設置のお手伝いはもちろん、空間づくりの視点から一緒にサイン計画を考えるお手伝いもしていますので、お気軽にご相談ください。