2024年10月、電気給湯機器の専業メーカー 株式会社日本イトミック様は、ものづくりのまち東京都墨田区に研究・開発施設 iTOMIC LABO(イトミック ラボ)をオープンされました。
同年11月に当施設4Fにショールームを開設され、私たちは内装デザイン及び施工を担当させて頂きました。
同社とはこれまで、展示会出展のブース設計・施工のご支援を通じてお付き合いをしてまいりました。
展示会という期間限定の場と、ショールームという日常的に使われる空間では、考え方や活用方法にどのような違いがあるのか。これらのプロジェクトを担当されたマーケティング部の大塚様にお話を伺いました。
本社が現在のスカイツリーイーストタワーに移転してから、エントランスフロアを「本社ショールーム」として利用しています。広いフロアではあるので、多くの製品を展示することはできているのですが、高層ビルのオフィスフロアの一画ということもあって、これまで給排水工事を行うことができませんでした。その結果、実際のお湯の使い勝手を体感していただける場は、給排水設備が整った展示会に限られていたんです。
私たちの製品は電気給湯機器なので、製品を知っていただくには、実際に製品から出湯し、使い心地を体感してもらったり、お湯の出方をご確認していただくことがとても重要です。
そのため、これまでは展示会に出展し、ブースに給排水設備を設けたうえで、来場者の方に実際に使っていただくデモンストレーションを行ってきました。
こうした中で、研究・開発に特化した施設を新たに構える運びとなり、念願であった、給排水設備が整ったショールームの構想が実現しました。
電気給湯機器を知っていただくためには、お湯が出ることは大前提でした。
お湯の温度や水流の違い、実際に触れたときの感覚まで含めて体感してもらえないと、製品の正しい姿は伝わらないと思っています。そのため、給排水設備をしっかり整えること、そして実際のリアルな設置環境を想定した形で製品を見せられることは、構想段階からこだわったポイントでした。
もうひとつ重視したのが、常に最新の状態で製品を見せられることです。製品の入れ替えがしやすく、変化に対応できることも重要でした。
こちらの意図や将来的な運用まで汲み取って、製品の入れ替えを前提とした設計を提案・実現していただいたのは、とても心強かったですね。その分、設計の難易度はかなり高かったと思います。
主には、営業担当がお客様をご案内する場として使っています。カタログや写真だけではどうしても伝わらない部分が多くて、「やっぱり一度、実物を見たいですよね」という話になることが多いんです。
ショールームでは、実際にどんな感じでお湯が出るのか、手で触れたときの温度の感じ方や、モデルごとに異なる水流の違いなどをその場で体感していただけます。電源やヒーター容量の違いによる使用感の差や、取り付けたときのサイズ感、ボリューム感も実物を見ていただくと話が早い。同じような見た目の製品でも並べて使用感を比較すると、皆さん納得されます。
それから、営業用途だけでなく、経営層が大切なお客様をお招きする場としても使っています。自社の製品に囲まれた空間でお話しすることで、製品だけでなく「どんな会社なのか」を自然と感じてもらえる場になっていると思います。
実際、現在は週に3〜7件ほどの予約が入っていて、社内でもすっかり“会社の顔”のような空間になっています。
正直に言うと、ショールームにお金をかけて、本当に効果があるのか、半信半疑だった人もいたと思います。
ただ、実際にショールームができて、お客様をご案内する機会が増えたり、商談につながるケースが多くなる中で、やっぱり作ってよかったねという声が大きくなりましたね。
一方で、きれいな状態を保つために、日々いろいろと気を配っています。使った人が片付けるルールにしていますが、営業担当はどうしても次の予定があって、すぐに戻れないことも多い。ですので、マーケティング部門のメンバーとラボに常駐している部門のメンバーでフォローしていますね。
展示会とショールームでは役割が分かれていると考えていますが、ショールーム構想の当初から、両者を連携させて活用することを想定していました。
展示会は、まず多くの方に自社の存在や製品を知っていただくための場です。建築設備商社様や設計事務所様、飲食・厨房機器業界様など、設備系の方々や、レストランなどの現場に近い方が多く集まるため、自社の製品や考え方を知っていただく重要な接点になっています。
ただ、展示会では当社製品のごく一部しかご紹介できなかったり、展示製品のすべてを実演できなかったりする場合も少なくありません。
そのため、展示会をきっかけとしてラボショールームにご来場いただき、実際の設置現場を模したリアルなシーンを用いてご説明する機会を大切にしています。
展示会で出会ったお客様には、「ぜひ一度、ショールームにもお越しください」とお声がけしています。
ラボショールームではほとんどの主力製品や最新製品を展示しており、実際の使用シーンや環境を含めて、より落ち着いた環境でご紹介することが可能です。具体的な相談や商談にもつながりやすくなりました。
展示会とショールームは、当初想定していた役割をそれぞれ上手に実現できており、今後もお客様との密なコミュニケーションの場として活用していきたいと考えています。
ここからはショールーム設計のポイントをご紹介します。
製品のことをもっと知りたいというお客様をいつでもご案内できる場所として、ショールームは計画されました。
製品理解やブランドイメージ向上につながる体験と、より良いコミュニケーションが生まれる場としてふさわしい、“実機展示”と“カフェ機能”を兼ね備えた空間となっています。



同社の最新電気給湯機器が出湯可能な状態で設置され、お湯の手触り、水流、サイズ感など、カタログでは伝えきれない製品の特徴を確かめていただけます。
使用シーン別に「カフェ」「給湯室・厨房」「手洗い・洗面所」「宿泊施設」ゾーンを明確に分けつつも、素材の質感を活かしたシックで温かみのあるデザインで空間全体を統一しました。


業務用電気給湯機器という性質上、目に触れられない箇所へ設置する製品もあります。開閉式で内部を見せられる構造は、よりお客様へご案内しやすくというご希望に沿った設計です。
丁寧に淹れられたコーヒーでおもてなしをし、訪れた方にリラックスしていただける雰囲気づくりも大切にされました。
ショールームのコンセプトを象徴的に演出するため、中央のカフェゾーンは対話しやすいラウンド型のカウンターテーブルで取り囲むレイアウトをご提案しました。
カフェ様向けに温度変更を可能にした話題モデル「ホットウォーターディスペンサー EHWD-14【カフェエディション】」にて沸かすお湯を用い、本格的なドリップコーヒーを提供できる設えとしています。
