「BLUE CARBON(ブルーカーボン)」アートを通したCO2削減への提言 劇場型アクアリウムátoa(アトア)

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温室効果ガス増加を緩和する役割があるとして注目されているブルーカーボン。
兵庫県神戸市に所在する劇場型アクアリウム átoa(アトア)では、ブルーカーボンの重要性について多くの人に理解を深めてもらいたいという思いから、壁面アート「BLUE CARBON(ブルーカーボン)」の展示を2022年3月29日より開始しました。

「ブルーカーボンと海洋植生の重要性」をテーマに、地球温暖化の抑制や生物多様性の保全を目的とした、アマモ(海草)をはじめとする海の植生の大切さをアートで表現した作品です。

私たちはデザイン構成、設計、施工を担当させていただきました。

「ブルーカーボン」とは?

光合成などで陸上の植物(グリーン)が蓄えた炭素(カーボン)をグリーンカーボンと呼ぶのに対し、海(ブルー)の植物などが光合成によって蓄えた炭素をブルーカーボンと呼びます。
大気中から炭素を貯めこむ量は陸よりも海の方が多いため、地球温暖化を抑制するためにはブルーカーボンがとても重要。とくに四方を海に囲まれた日本にとっては、沿岸域のCO2吸収源として効果を期待されています。

アマモにスポットを当ててブルーカーボンを解説

ブルーカーボン_アマモの標本

ブルーカーボンの中でもアマモなど海草の群落は、海にすむ様々な生き物の産卵場・生育場としても海の生態系に不可欠な存在。
こうした状況からアトアが所在する兵庫県神戸市では、2020年からブルーカーボンの取り組みを始め、須磨海岸にアマモという海草を増やす活動を行っています。

アトアを運営されている㈱アクアメント様は須磨海浜水族園の運営当時からこの活動に参画されており、CO2削減を表現する際にアマモにスポットをあて、ブルーカーボンと海の生物のはたらきを紹介します。

こちらではアマモの標本を一緒に展示し、海洋植生を身近に感じられる演出を施しています。

グラフィックからアートへ
空間の統一感を目指した展示

本展示では、多くの人にブルーカーボンを知ってもらい理解が深まる展示であること、さらにグラフィック展示に留まらずアート表現を持たせる、という2つの課題がありました。

グラフィック展示をアートとして表現

ブルーカーボンのグラフィックデザイン

ギャラリーをつなぐ回廊の壁面と床を大胆に利用し、ブルーカーボンの理解を深める体験を提供。文字や単純なグラフ表現を減らし、英文字やQRコードを利用して、単に「伝える」だけではないアート性もたせたグラフィックデザインを意識しました。
動植物のイラストはそれぞれの特徴をとらえたアイコン風にアレンジ。地球温暖化やブルーカーボンのメカニズムの図式とともに具体的な数字を示し、はじめて知る人にもわかりやすい表現を目指しています。

気づきとアクションのステップ

壁面で紹介している内容からさらに詳しく知りたい人は、対面する壁に掲示されたQRコードを読み取り、WEB上で情報を見ることができます。
見た人それぞれの気付きを経て、ブルーカーボンを自発的に調べるまでのアクションを促す、段階を経て理解を深められるデザイン構成を意図しています。

神戸ポートミュージアム 水族館átoa(アトア)公式WEBサイトはこちら
壁面アート「BLUE CARBON(ブルーカーボン)」
完成年月
2022年3月29日
実施場所
神戸ポートミュージアム 水族館átoa(アトア)
クライアント
株式会社アクアメント
業務内容
デザイン構成、設計、施工