国立科学博物館 企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」

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日本の多様な自然が織りなす“ 物語 ”を、国内に現存する34の国立公園を切り口に紹介する展覧会。
「大地」「水」「命」の3つのテーマで、 動物や植物、岩石・鉱物といった国立科学博物館が所蔵する約300点の自然史標本、そして全34公園の高精細空撮映像によりその姿に迫る展示です。
弊社は実施設計・施工を担当させていただきました。

 

メインビジュアルについて

入口グラフィックにも使用しているポスタービジュアルは、国立公園における自然の多様性をイメージし、その恩恵を受け共生しつつ保全に取り組む「人」との関わりも想起させるデザインが良いと考えました。4文字で構成されるタイトル文字「国立公園」へ取り込む公園写真を、お客様とともに選定しながら丁寧に重ね上げる作業を行い、シンプルな白をベースとした美しいメインビジュアルを作り上げました。

国立公園のタイトル文字には、2016年に環境省の取り組みによって作られた国立公園専用のフォント「TP国立公園明朝」を用いています。

本展示は、自然に寄り添う「人」の暮らしも併せて紹介する企画展であり、自然らしさと人の営みを感覚的に伝えることを狙い、樹木の皮を剥いだ杉の丸太材をロープで結び合わせて装飾的に施しました。
加えて、南北に長く、海に囲まれた日本列島の各地に、豊かな自然を有する国立公園があることを伝える為に、導入部には全国フロアマップを交えシンボリックに仕立てました。

展示の主役は、自然史標本と自然にまつわる物語。
公園ごとに研究者の先生方ならではの視点で選ばれたトピックを“ ものがたり ”として、それぞれの景観写真と併せてグラフィックを作成。
公園の景色、物語、それにまつわる自然史標本が一連でご覧いただけるよう展示レイアウトしました。

また、国立公園へ実際に訪れてみたいと感じていただけるよう、象徴的な風景や生物、伝統文化の写真を各所にあしらい、項目立てを明確にした展示解説とともに印象的なビジュアル計画を試みています。

地球館特別展示室での企画展開催となった本展示は、コロナ禍に来場されるお客様のソーシャルディスタンスを考慮し、ゆとりある展示スペースと広めの通路幅、また来場者動線の設定を繰り返し検討し開催を迎えました。世の中に緊急事態宣言が発令され、計画途中で開催室変更が決まり、数々特別展・企画展のお手伝いをしてきた弊社としても新たな試みとなりました。

<展示導入部>


エントランスから続く導入部の第1章展示は丸太組みで装飾し、「国立公園とは」と題して、国立公園を紹介する解説グラフィックをレイアウトしました。
床には、国立公園が日本列島の東西南北に存在することを伝える、直径6Mの大きさの全国マップを配置しています。
来場者に感覚的にも興味を抱いて頂けるよう、素材の組合せや視界の変化を意識し空間を構成しています。

<会場風景>



コロナ禍に来場されるお客様が安心安全にご覧いただく為、ゆとりある展示スペースと広めの通路幅になるよう動線を設定しています。
企画展示ではありますが、地球館特別展示室の利用において、これだけ開放的な展示構成をしたのは希有であり、今後の展示のあり方を再考するきっかけとなっています。

<自然史標本の展示(1)>

知床国立公園 オオワシ、オジロワシ、ヒグマの剥製展示。
「水」をテーマにした国立公園紹介の目玉となる展示のひとつとして、展示室中央に配置しています。

<自然史標本の展示(2)>

クロツチクジラが新種記載されてから初めての展示となります。
知床国立公園内(羅臼町沖)に漂流していた個体などを用いて、2019(令和元)年に新種記載されました。
展示標本はホロタイプ(北海道北見市常呂漂着個体)。

ホロタイプとは、新種発表のときにその種を定義するために選ばれた標本のことで、動物や植物鉱物では世界でたった1つの標本だけが選ばれます。
よって、クロツチクジラの標本の中では、展示中のホロタイプ標本が世界中で一番大切な標本といえます。

<国立公園絵画の展示>

小杉放菴記念日光美術館が所蔵する国立公園絵画のうち12点を一堂に展示。
絵画の構図に近い公園写真と解説を添えています。

旅行やカラー写真が一般的でなかった当時、国立公園候補地の景観が描かれた絵画は、その指定に重要な役割を果たしたそうです。

「国立公園 -その自然には、物語がある-」
完成年月
2020年8月
実施場所
国立科学博物館(東京・上野公園)
クライアント
国立科学博物館
業務内容
実施設計・施工